「食べ合わせが悪い」って?
悪い食べ合わせというのは、昔から民間伝承的に云われているものが多数あります。多くの場合根拠の分からぬ迷信のようなものですが、なかには「それは確かにそうだ」と思える言い伝えもあります。
ここで紹介していますのは、そういう民間伝承に基づくものではなく、あくまでも「栄養学的によろしくない」という事例です。
納豆と卵白
納豆と卵の組み合わせは定番ですね。しかし生卵は良くありません。納豆にはビオチンという健康成分が多いのですが、卵の卵白にあるアビジンがビオチンの吸収を阻害してしまうのです。
卵を加熱して白身が固まるとアビジンは作用を失いますので、温泉卵なら問題ありません。生卵なら卵黄だけにしておきましょう。
ウナギと桃
夏の定番といえばウナギの蒲焼き。夏から秋に旬を迎えて脂がのるウナギは美味しいものです。
ウナギとの食い合せといえば、昔から「梅干と一緒に食べるな」という伝承が有名です。ところが有機酸は有機酸でも、梅干のクエン酸ではなく、モモに含まれる有機酸がウナギとの相性が悪いのです。
桃の有機酸は脂肪の吸収を妨げる性質があるため、脂のあるウナギとの相性は最悪。夏バテ克服のために食べたはずのウナギが、消化不良で逆に疲労するという結果になるかもしれません。
あまり聞いたことがない組み合わせですが、両方とも夏の食べ物ですので、蒲焼きの後のデザートが桃ということがあるかも知れません。憶えておきましょう。
カニとフルーツ
「カニを食べると体を冷やす」
これは古くから知られていました。したがって消化吸収され難く、胃腸に負担をかける食材です。これを緩和する意味でも食中毒予防の為にも、酢や生姜などと一緒に食べるわけです。
体を冷やすといえば、スイカ、メロン、キウイフルーツなどのフルーツ。野菜のキュウリやトマトも同じです。ほとんどが「夏物」ですが、柿も要注意です。柿そのものは「医者いらず」といわれる程の健康果物ですけども、そのせいでしょうか、体を冷やすことも有名です。
とうぜんですが、これらとカニの組み合わせは良くありません。相乗効果で冷えすぎてしまい、お腹をこわすコンビです。
ウメとアンズとビワとモモ
こうしたバラ科植物の果実や種子にはアミグダリンという成分が含まれています。この成分は「青酸中毒」を引き起こすことで知られます。名前からして恐ろしいですが、実際に最悪の場合は死に至る怖い中毒なのです。これらを同時に食べるのはリスクがあることを憶えておきましょう。
意外な「悪い組み合わせ」
よくあるような組み合わせも実は…
牛乳とチョコレート
牛乳に含まれるカゼインは、チョコレートのカカオマスポリフェノールと結合するとカルシウムやナトリウムの吸収を阻害してしまいます。
ヨーグルトとスナック菓子
子供のカルシウム不足を心配して、おやつにヨーグルトを使う方も多いようで、これ自体は良いことです。
しかし、スナック菓子を同時に出す場合は、その菓子の表示を必ずチェックしなければいけません。市販のお菓子には必ずというくらいリン酸塩が添加されているからです。
ヨーグルトのカルシウムは腸内でリン酸カルシウムになり、吸収され難くなってしまいます。
リンはありとあらゆる食品に添加されていますので、ただでさえて過剰になっているものです。カルシウム不足の心配よりも、リンの過剰を抑制した方がよいのですよ。リンはカルシウムと1:1を保とうとしますので、いくらカルシウムを補給してもリンが多いとカルシウムは機能を失ったり排出さたりし、まったく意味がなくなります。
カキと海藻
生牡蠣などに豊富な亜鉛は、その機能性の多様さから注目されているミネラルです。
ところが、亜鉛の吸収を妨げてしまうのが海藻類(ヒジキ、モズク、ワカメ、コンブ、海苔など)です。これらの食物繊維が亜鉛を排出してしまうのです。
グレープフルーツとアルコール
グレープフルーツは肝臓の解毒作用を低下させる成分が含まれています。
グレープフルーツと焼酎の組み合わせが居酒屋などの定番になっていますが、酒は言うまでもなく肝臓に負担をかけますし、グレープフルーツは肝臓の働きを邪魔します。悪酔いコースになりすいということです。人によっては急性アルコール中毒の可能性を高めるでしょう。
また、炭酸が加わることでさらに肝臓機能が落ちますので、「生グレサワー」などは肝臓を痛めやすいドリンクだといえましょう。
ホウレンソウのバター炒め
ほうれん草のバター炒めは、素早く作れる酒の肴として昔からの定番です。しかしこれにベーコンを加えているケースが多いのが気になります。
ベーコンは添加物のかたまりみたいなもの。特に気になるのは発色剤の亜硝酸ナトリウムです。ハムやソーセージも同じようなもの。
亜硝酸ナトリウムがほうれん草の硝酸と反応して、発ガン性物質のニトロソアミンが発生する可能性が高まるのです。それに加えて、ベーコンに添加されているリン酸塩がほうれん草の鉄分の吸収を阻害します。
バターに添加されている酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン)も亜硝酸ナトリウムと反応して発ガン性物質を生成します。
非常に悪い組み合わせだといってもいいでしょう。
また、ホウレンソウは硫黄とも相性が悪いので「ゆで卵」との組み合わせも良くありません。鉄の吸収を硫黄が阻害するのです。
自分では栄養を取っていたつもりでも、組み合わせ次第では意味がなくなってしまったり、悪影響を及ぼしてしまうこともあるんですね。
生きていく上で食べ物とはとても身近なもの。覚えておいて損はないのでこの機会にぜひ覚えておきましょう。