「酒のサカナになる」
このフレーズは皆さん一度は聞いたことがあると思います。ですが、この「サカナ」とはどういう意味なのでしょうか?
生き物の魚でしょうか?何か違うという事は感覚でわかりますよね。正解を先にいうと、この「サカナ」とは【おつまみ】という意味なのですがなぜ「サカナ」というのでしょうか?今回はこんなふとした疑問を調べてみました。
サカナってどっち?「肴」「魚」の違い
「酒のサカナになる…」
この時のサカナとは、生き物の肴ではなく、〈おつまみ〉という意味です。おつまみのサカナを漢字で書きますと「肴」で、生き物のサカナは「魚」。「魚」はウオとも読みますが、「肴」のほうはサカナとしか読みません。おつまみという意味なので、肴のほうは、魚のこともあればソーセージのこともあります。
さて、言葉の語源を見てみると「酒菜」という言葉に行き当たります。酒を飲むときのおかずという意味です。この「菜」とは食事の副産物のこと。日本人の食卓には、ご飯、焼き物などの主食のほかに汁物、菜物、香りのものなどが定番。菜物は植物でしたが、おかずには魚も合うことになりました。そしておかずの意味に過ぎなかった肴は、魚も指すようになりました。
肴という字は、肉の意味を持つ「月」に、煮るという意味をもつ「メ」と「ナ」をのせた文字となっています。日本最古の文学「古事記」では「魚」を「な」と読んでいる箇所があり、菜と魚は同じ音をもっていたことが分かっています。
「魚」をサカナと読むようになったのは、中世以降(鎌倉・室町時代)になってからで、それまでは「ウオ」と読んでいました。今でも関西地方では海にいる魚を「ウオ」、魚屋に並んでいる魚を「サカナ」と呼ぶところがあります。
蛇足ですが、古代、動物のおかずを真菜(まな)、植物のおかずを蔬菜(そさい)といい、神前に捧げる食物を真菜板と呼ばれる板にのせていました。「まな板」という言葉はここから生まれています。