バイキングはよくホテルのランチや宿泊時の食事で見かけますよね。定額の料金を支払えば様々な用意された料理の中から好きなものを好きなだけ食べることができる、いわゆる食べ放題形式のことでとても人気のある方式です。この”バイキング”という言葉は和製英語なので日本でしか使用されていません。
ちなみにビュッフェはバイキングとは少し違って、フランス語が語源の世界中で用いられている言葉です。様々な用意された料理の中から好きなものを食べ、その分の料金を精算するシステムのため食べ放題ではありません。
この”バイキング”方式の由来ってご存知ですか?言葉からして「海賊?海賊たちの間で用いられていた食事法?」と推測した方が多いのではないでしょうか?この和製英語であるバイキング方式の由来を調べました。
海賊が語源?バイキング方式の由来
1957年、スウェーデンのスカンジナビア航空が、東京ーデンマーク・コペンハーゲン間に航路を開設しました。その招待旅行に参加した帝国ホテルの犬丸徹三支配人(当時)は、宿泊地のコペンハーゲンのホテルで出された「スモーガスボード」という、スカンディナビア地方の伝統料理に惹きつけられました。
魚料理をはじめ日本人にも合った味覚、豊富なボリューム、好みのものを自由に食べる方式です。これは日本でも必ず受けると思い、帰国して翌年の7月、帝国ホテルにスモーガスボード専門のレストランを開きました。社内公募の結果、店名はかつてヨーロッパ中に勇名をはせた海賊の名に、スカンディナビアの伝統と食べ放題の豪快なスタイルからくるイメージを合わせた「インペリアルバイキング」に決められました。犬丸氏が初めてスモーガスボードを食べた時に、決まったホテルの窓から近くの「バイキング」というホテルが大きく見えたのも、この名前にした理由のひとつという逸話も残っています。
当初の料金は昼1200円、夜1600円(当時は国鉄の初乗り運賃10円、かけそば30円、映画館の入場料150円)と、決してお手軽とはいえない料金にもかかわらず、大変な人気で予約もままならなかったそうです。その後、インペリアルバイキングの「お好み・食べ放題」の方式が世の中に広まり、やがて西洋、中華、日本料理とさまざまな分野で食べ放題の食事を、バイキングと呼ぶようになったのです。