基本給の金額が就業規則に載ってない
入社を決めるにあたって、一番の理由と言っても過言ではない「賃金」。どういった場合にどのような対応をすることが必要なのかご紹介します。
例えば入社してすぐに渡される「就業規則」。具体的にどの程度支給されるのかが記載されていなかった場合は問題ではないのでしょうか。意外かもしれませんが、具体的な支給額は就業規則に記載しなくても問題ではないのです。必ず記載しないとならないのは「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」です。つまり「どんな方針・理念にもとづいて、どんな人を高く評価して賃金を決定するか」を明確にしていれば良いのです。
月給から最低賃金額を出す方法
念のため、最低給与額の計算方法を知っておくとより安心です。時給換算の場合は、厚生労働省が発表している「地域別最低賃金の全国一覧(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/)」をご参照ください。
月給制は1ヶ月の平均所定労働時間で月給額を割った結果を最低賃金額と比較します。例えば都内で年間休日120日、1日8時間労働とした場合の計算法です。年間365日からまず休日をひいた245日が労働日数となります。これに8時間ほどの一日の勤務時間をかけると年間1960時間の労働となります。これを12で割ると1ヶ月163.33時間が所定労働時間となります。これを月給と割るのです。割った結果が都の最低賃金である907円を下回っていた場合は違法となります。
賃金が提示された額を下回ってる
入社していよいよ給与が支給された時に「支給額が入社前に提示されたより少ない…」といったこともあるかもしれません。
実際、裁判になった例もあります。入社前の「見込み」額より少なかった分の差額を請求することはできるのかが争点となりました。裁判所では『見込み額」は、労働契約申し込みの誘引であり、確定的な労働契約とはならない』として差額分の請求はできないという判決を出しました。差額を請求することは難しそうですね。
ですが過去には中途採用者に対し『新卒同年次定期採用者と同等の待遇を受けることができるものと信じさせかねない説明をした』として企業側に『慰謝料100万円 の支払い』を命じた場合もあります。
賃金を一府的に下げることは違法?
また入社してから所定より能力が低いとみなされ、給与を下げられてしまった場合はどうでしょう。これはもちろん「違法」です。雇用というものは双方の合意が無ければ成立しません。一方的に契約を変更することは原則としてできないのです。
昔からこういった内容の相談は数多くあります。「労働契約法」という労働契約の基本的なルールがまとめられた法律が施行されました。その第8条では、「労働者及び使用者 は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と明記しており「合意の原則」が必要なことが分かります。