故事成語とは
古代中国で起きた出来事から成り立ったことわざのことを「故事成語」と呼びます。歴史が経った今でも日本で利用されている故事成語は多いです。日常会話にすら出てくるものもあれば、初めて目にするものもあると思います。
風林火山(ふうりんかざん)
やっぱり、まずはこれ。大河ドラマでもおなじみ風林火山は甲斐の武田信玄が尊んだ語。これは、『孫子』にその出典をもちます。「疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し…」と、軍の行動の在り方を要約しています。
鶏口牛後(けいこうぎゅうご)
鶏口牛後とは戦国時代、合従派の中心人物、蘇秦のいったことば。「鶏口となるとも牛後となるなかれ」。鶏は小国、牛は大国(この場合は秦)。鶏のくちばしと 牛のしり。「おれは牛後となるのは嫌だ。たとえ小さくとも一国一城の主になるのだ」、脱サラ派の考え方に一脈通じています。なお、口と後は韻をふんでいます。
臨機応変(りんきおうへん)
柔軟性のある対応を「臨機応変な対応」と例えることも多いと思います。機とは機会の機で、何かしらの機会に臨んだ(参加した)際に対応をその場、その場で変えることをいいます。昔の中国にいた将軍が色々とうるさくアドバイスしてくる部下たちに告げた言葉からきているそうです。
完璧(かんぺき)
実は「完璧」は故事成語だということをご存知でしたか?あまりにも当たり前に使用しているので、気付かない人もいるかと思います。意味はもちろん「全くすきのない、完成された」状態のことを言います。「完璧」の「璧」は紛らわしいですが「壁(かべ)」ではなく「璧(へき)」です。古代中国の人々がつけていたアクセサリーのことを指します。中国の春秋戦国時代。ある国の王様がよその国の「璧(へき)」を欲しがりました。家来の一人が「璧(へき)」の持ち主に交渉したのですが、許可がもらえず、命がけで「璧(へき)」を完全な状態で奪い去ったことから、「完璧」はきています。「璧(へき)」はよく見ると宝を表す「玉」の字がついていますね。「壁(かべ)」という字は「玉」の部分が「土」なのでここで見分けるといいでしょう。
助長(助長)
「~を助長する」という単語も、ニュースなどで良く聞くかと思います。あまり良い意味で使用されているのを見た人は少ないでしょう。昔、中国に真面目な男性がいました。自分が育てている農作物の成長が遅いと考え、農作物の苗を少しずつ上に引っ張ってしまいました。結果、苗は土から離れてしまい、枯れることとなったことから「余計なお世話して結果を悪化させる」という意味合いで使われるようになったのです。