ぎんなんとは
ぎんなんはイチョウの木から獲れる実のことを指します。イチョウ並木の下を落ち葉とぎんなんが埋め尽くす風景は、秋の終わりにお馴染みです。ちなみにイチョウの木は雌雄に分かれていたことをご存知でしょうか。実は雌の樹木にしかなりません。
実の特徴は、なんといってもあの独特のにおいでしょう。誤解している方も多いかもしれませんが、この実の果肉は食用ではありません。くせが強い上に、アレルギー性物質があるため、食べられないのです。果肉を取り除いて中に入っている種子が、食用として愛されているぎんなんです。
ぎんなんは中国や日本で、古くから薬や食用とされてきました。強壮、強精の妙薬として、また、夜尿症、せき、たん、ぜんそくなどにも効果があるといわれています。
ぎんなんの注意点
しかし、食べ過ぎると中毒を起こすことがあります。そのため、昔から子どもには「自分の年より多く食べるな」と戒められてきましたし、実際に戦後の食糧難時代には死亡した例もあったほどです。
その後、死亡例は少なくなってきているようですが、今でもぎんなんの季節になると、日本中毒情報センターに数件の問い合わせが入るそうです。
1988年、有害成分の正体は「4′- メトキシピリドキシン」という物質が関与していることが明らかになりました。この成分がビタミンB6の働きを阻害し、欠乏をさせ、中毒を起こすと考えられています。
ぎんなんの種類
ぎんなんにはいくつかの種類があります。1つ目は藤九郎(とうくろう)。一番評価が高い高品質のぎんなんです。形が良く、殻の表面はつやつやして、薄く割りやすいです。もちろん味も良く、日持ちもします。収穫量が他のぎんなんより少ないのが難点です。2つ目は金兵衛(きんべえ)です。収穫量がかなり多い点が特徴です。少しの苦みが短所と言えるでしょうか。3つ目は久寿(ひさじゅ)。味に問題はないのですが、日持ちしません。
ぎんなんのさばき方
正しいぎんなんの調理方法をご紹介します。まずはぎんなんの実を拾います。先述した通り、決してこの実の果肉を食べてはいけません。水の入った容器を用意します。中に集めた実を入れて、果肉を腐らせるのです。1週間ほどかかるかと思います。
その後、腐った果肉を洗い流します。においがきつい果肉が更に腐っているので、より一層においます。また、アレルギー物質もあるため人によっては手が荒れてしまうかもしれません。
こうして取り出せた種子がぎんなんなのです。この種子をざるにあげて、何日もかけてしっかりと天日干しします。日干しが基本で、天気が悪ければ屋内に一旦いれます。
しっかり乾燥させた後は、ストーブなど乾燥する機械を利用してさらに乾燥させます。目安は種子の殻が白くなるかどうかです。1、2個試しに割ってみてください。水分が無ければ大丈夫です。
出来上がったぎんなんは色々な食べ方があります。一番簡単な料理法は電子レンジであたためることでしょう。手軽なおつまみになります。その際、殻つきで封筒に入れてあたためるのですが、たまに爆発するそうなので殻にペンチなどで割れ目をつけてあたためると良いそうです。