そもそもいつから「日本」?
「日本」という国号は、7世紀の後半、他国との交流が生じた背景から誕生したとされます。当時の国際的な読み方は「にっぽん」「じっぽん」。仮名では「にほん」と表記され、現代になって「にほん」という呼び方で定着してきたようです。
少し古いのですが、2004年にNHK放送文化研究所が行った「ことばのゆれ全国調査」によると、「にほん」と読む人が61%、「にっぽん」が37%と、「にほん」が優位の結果となりました。また若い人ほど「にほん」と読み、年配の方ほど「にっぽん」と読むということです。
公式にはどうなってるんでしょう?
政府の公式見解はというと2009年、麻生太郎内閣の時代に「どちらの読み方も広く通用しており、どちらか一方に統一する必要はない」という閣議決定を行っています。NHKでは、日本の国号として正式に使用する時には「にっぽん」と音読・表記し、その他は状況によって使い分けているそうです。
ちなみに日本銀行が発行するお札には、「NIPPON GINKO」と印刷されていますよね。日銀では表記に合わせて「にっぽんぎんこう」を使用しますが、NHKでは「にほんぎんこう」という読みを優先させるルールがあります。なかなか複雑ですね!
読み方にルールはあるの?
前や後に言葉がつく場合には「にほん」、何もつかない場合は「にっぽん」と読むことが多いようです。いくつか例を挙げると、「西日本」「日本列島」が前者、「日本は緑が多い」が後者になります。また、スポーツの応援の際は音として力強さを感じる「にっぽん」を使用する場面が多くみられます。企業や団体名などには「日本」とつく団体も多く、またその読み方も一つ一つ違うため、一例としてテレビ局の報道スタジオには、「にほん」と読むか「にっぽん」と読むかをまとめた自作の「辞書」まで存在するといいます。
ちなみに、「日本国憲法」の正式な読み方はどうでしょう。内閣府によると「どちらでも構わない」という事です。ますます混乱してきますね。
昔から議論されてきた経緯をもち、また一方で多くの人がたいして疑問に思っていないのも確かなようです。そしてついには政府によって「どちらでもいい」と定義されるに至った、この「日本」の読み方問題。無意識すぎるとも思えますが、多様性を受け入れる余地のある、日本人らしい感受性ともいえるのではないでしょうか。