ジビエってそもそも何!?
ジビエ(gibier)とは、畜産による肉の対義語で、狩猟肉のことです。16世紀ごろから、狩猟により仕留めた野生の鳥獣をフランス語でジビエと呼ぶようになりました。ヨーロッパでは中世以降、貴族の趣味として狩猟が行われ、それにともない狩猟肉の調理法も食文化として発展してきました。尊い生命をいただいた動物に感謝を捧げる意味で、肉はもちろん、内臓や骨、血に至るまで全てを余すことなく料理に使います。英語では、ゲームミートともいいます。現代の飲食業界では、自然で育った鴨や猪、野ウサギなどの動物の肉を総称します。完全に野生のジビエの肉はソヴァージュ(sauvage)、これに対して一定期間飼育してから野に放ったり、野生の野禽を餌付けしたものはドゥミ・ソバージュ(Demi sauvage)と呼んで区別します。ソヴァージュは家畜に比べ、野性味がありしっかりした味わいが特徴です。低カロリーで高たんぱく、低脂肪なヘルシー食材としても注目をあつめています。
ジビエに旬はあるの?
秋から冬にかけてのフランスの代表的な食材で、日本のフランス料理店でも輸入品などを使い、メニューに載せるところが増えています。野生の動物は冬に備え、体に栄養を蓄えるため秋がジビエの旬となります。これまでは肉を熟成させて味に深みを出すのが主流でしたが、最近では、あまり熟成させずに新鮮な持ち味をそのままに調理する傾向があります。近年では北海道など、鹿の自然繁殖による食害になやまされる自治体も多く、駆除後の鹿やイノシシをジビエとして出荷しています。日本では鳥獣保護管理法により免許を持った登録狩猟者が、狩猟期間である11月15日~翌2月15日(北海道は10月15日~1月31日)に狩猟をおこなうため、この時期が日本での旬といえます。
フレンチで人気のジビエはコレ!
ジビエは大きく分けて、野生の鳥類(Gibier a plume、ジビエ・ア・プリュム )と野生の哺乳類(Gibier a poil、ジビエ・ア・ポワル)の2つに分類されています。クセや匂いが強い食材も多いので、血抜きなど適切な処理や、調理上の工夫や経験が必要な食材です。
◇山うずら (Perdreau、ペルドロー)
→代表的な鳥のジビエ。生後1年未満の雛をペルドロー(Perdreau)、それ以上のものをペルドリ(Perdrix)と呼びます。また、現在流通するウズラのほとんどは生きたまま捕獲して餌付けしたものです。フォアグラを詰めてポワレなどで提供されます。
◇野うさぎ (Lievre、リエーヴル)
→ジビエの中ではクセが強く、また肉質も硬くパサつきやすいのですが、野兎の王家風(Lievre?a la royale、リエーヴル ア ラ ロワイヤル)は、ジビエ料理の最高峰と言われ、ジビエを語るうえでは欠かすことのできない食材です。下ごしらえに非常に手間がかかり、調理の難易度も高いのでめったにお目にかかれないメニューです。煮込み料理が多いです。
◇鹿 (Chevreuil、シュヴルイユ)
→クセの少ない淡白な赤身肉は、低カロリーで高たんぱく、鉄分も豊富なので女性におすすめ。ジビエ入門にぴったりのお肉です。シンプルにローストや、煮込み料理など。
◇猪(Sangrlier、サングリエ)
→豚肉に似ている。独特のにおいが強いが、血抜きをしっかりすることで美味しく食べられる。脂身はコラーゲンなのでしつこくない上に、低脂肪で鉄分も豊富です。テリーヌやロースト、煮込みなど。
なお、ジビエの入手方法としては、産地のお肉屋さんで取扱いがある場合や、通販サイトなどでも販売されています。ジビエは細菌感染や寄生虫の問題がありますので、生食は絶対にNGです。適切に肉を処理・加工している施設には認証を行っている自治体もありますので、参考にして下さい。野性味がクセになる、ジビエを試してみてはいかがでしょうか?