飲食店で「お客様を感動させるサービス」とは?
オリンピック招致のさい、「おもてなし」という言葉が国内でブームになりました。せっかく来てくれたお客様に対して、良い思いをして帰ってほしい。それが飲食店、ひいてはサービス業に携わる者の矜持と言えます。
今回は日本国内であった、飲食店の感動サービスをご紹介します。
アレルギーを持った長男への心配り
あるファミレスでの話です。ご夫婦とお兄ちゃんと弟くんの4人家族が入店し、ウェイターに、「日替わりランチ2つとお子様ランチを1つ下さい」と注文しました。3人分しか注文しないことを不思議に思ったウェイターが話を聞いてみると、なんでもお兄ちゃんは食物アレルギーを抱えているとのこと。さらに、お母さんが食材の詰まったタッパーを出し「失礼なお願いなのですが、上の子にはこれをここで食べさせてもかまわないでしょうか?」と聞いてきたのです。
食中毒などの店側の衛生管理上の問題により、飲食店への食べ物の持ち込みは原則禁止になっています。しかしこのウェイターさんは粋なことに、タッパーを一度預かって弟くんのお子様ランチと一緒に綺麗に盛り付けて出してくれたのです。皿の真ん中に立てられた旗に、お兄ちゃんは大喜び。ご両親も感動のあまり、涙が止まらなかったそうです。
極上馬刺しの旨味は、大将の真心
関西から熊本の温泉に旅行に行ったある男性の話です。熊本名物の馬刺しを食べたいと思った男性は、仲居さんに「おいしい馬刺しを食べられる場所はないか」と聞きました。すると仲居さんは旅館から700メートルほど離れた場所にあるお店を紹介してくれたのですが、外はあいにくの土砂降りです。
それでも男性は傘を指してお店へと向かいました。お店に入ったところ、きっとお客さんは来ないだろうと思っていた大将はビックリ。そして男性が関西から美味しい馬刺しを食べたくて来たと聞くと、わざわざ一度店を抜けて、今朝切ったばかりの新鮮な馬刺しを持ってきてくれたのです。
さらにはお客さんがほかにいなかったこともあってか、大将が一緒に酒盛りをはじめ、そして男性にお店を紹介してくれた旅館の仲居さんやその仲間も呼んでのどんちゃん騒ぎをはじめました。
さすがにごちそうになり過ぎて、はて自分の財布の残金で足りるのかと思った男性でしたが、大将からは極めつけの一言が。
「姉ちゃんたちはわしが勝手に呼んだやし、この雨の中をわざわざ傘さして来てくれたニイチャンへのわしの気持ちや」
なんと男性から一銭も取らないどころか、お土産に九州の銘酒を持たせたのです。これぞまさに、九州男児と言っていいでしょう。
大掛かりでなくても、人は感動させられる
以上紹介したサービスは、かなりドラマティックなサービスかと思います。しかし、このような大掛かりなものでなくても、人はささやかな優しさにも感動するんです。
・混んでいてもお客様のことを考える
とあるダイニングバーに行ったOLさんのお話です。以前から気になっていた近所のダイニングバーに行ったところ、中は大盛況。席に座ってオーダーを言ったものの、なかなか注文がきません。店員さんは忙しそうに動き回っています。もう少し時間がかかるのかなと思ったそのとき、ウェイターさんが注文していないミックスナッツを持ってきてくれました。「お待たせして申し訳ありません。もうしばらくお待ちください」笑顔と一緒に出された心遣いに、OLさんはホッと心が綻んだとのこと。
・行きつけの居酒屋のうれしいサービス
近所の居酒屋に週数回行くという大学生のお話です。老夫婦の営む個人経営の居酒屋なのですが、そこのお店では大学生のために、メニューに載っていない激安大盛飯を提供しているのだとか。老夫婦いわく「若いもんはしっかり食わなアカン」とのこと。その店にはかつて大学生のようにお世話になった人たちが、今でもせわしなく通うそうです。
きっと日本では毎日、このような感動サービスがどこかで行われているのでしょう。皆さんのお店でも、ぜひこのような感動サービスを実践してみましょう。