納豆の賞味期限はどうやって決める?
納豆は発酵食品という、いわば「腐った大豆」なのに、賞味期限がきちんとあるのはなぜ?と思ったことはありませんか。その答えは、「納豆が生きている」からです。納豆の製法として、蒸した大豆をパックに詰めたあと納豆菌を付着させて、大豆に「発酵」を続けさせているのです。そして実は、「腐る」ことと「発酵」することには、大きな違いがあります。
食べ物の中には、少なからず微生物や酵素が入っています。その微生物や酵素が、クエン酸などのうまみ成分やアルコールなどの有用な物質を生み出すことを「発酵」と言います。
逆に、有害な細菌やウィルスを生み出す場合のことを「腐る(正確には腐敗)」と言います。
市販の納豆は、パックに詰められ納豆菌を付着させた大豆を、適切な温度と湿度の管理のもと発酵させます。発酵は納豆菌以外の雑菌が混ざりこまない清潔な「発酵室」で行われ、16~24時間ほど経って、大豆の発酵が適度に進んだところで、製品の温度を下げます。こうして一旦、発酵を弱めた状態で出荷されます。納豆が要冷蔵商品なのは、「食べごろ」の状態のまま家庭の冷蔵庫に届けるため。常温だと発酵がさらに進んでしまうのです。
美味しく食べられる期間はどれくらい?
メーカーでは「美味しく食べられる期間」として賞味期限を設定しています。だいたい、製造日から要冷蔵で10日前後です。メーカーにより差があるのは、使う菌の種類や発酵させる条件の違いによる味の劣化速度が異なるためです。ちなみに、冷蔵庫で保存された状態での賞味期限になりますので、ご注意を!
現在の流通システムでは、メーカーから出荷された納豆は翌日には小売店に並びます。このため、一番おいしいのは購入した当日、または翌日くらいといえるでしょう。賞味期限内でも日にちが進むと、匂いが強くなったりと味に変化が出ます。
「買ったまま、冷蔵庫の片隅に忘れられていた納豆を発見…開けてみると納豆に白くて小さな粒が付いてる~!?」・・・こんな経験はありませんか。この白い粒の正体は、大豆の発酵が進むことで合成される、チロシンというアミノ酸の結晶です。このチロシンができると、納豆の風味が落ちたサイン。体に害はありませんが、風味が落ちますので、納豆チャーハンや味噌汁など、加熱調理して食べることをおすすめします。
賞味期限の切れた納豆はどうなる?
さて、賞味期限が切れてしまった納豆。これは食べても大丈夫なのでしょうか?
メーカー側の立場から言えば、さすがに食べることは推奨されていませんので、あとは自己判断の世界になります!賞味期限を過ぎた納豆は、日を追うにつれて茶色くドロッとした見た目に変化します。アンモニア臭が濃くなり、苦味も生まれ、食べるとシャリシャリした食感が出ることもありますが、いずれも体に害はないということです。
ただし、糸を引かなくなっていたり、青カビが発生したり、強烈な悪臭がする場合はもはや発酵ではなく腐敗が始まっていますので、絶対に食べないでください。冷蔵庫以外の場所で保存していた場合や、ひき割り納豆には要注意です。
また長期保存するには、発酵を止めるように冷凍保存すれば3?4カ月は保てます。ラップできっちり空気を遮断して、食べる前に冷蔵庫で解凍しておきます。少し柔らかめの食感になりますが、十分食べられますよ。