豆腐ようって何でできてるの?
海ぶどう、ラフテー、ミミガー…沖縄旅行の際に、また沖縄料理店の前を通りかかった時にも恋しくなってしまう、沖縄名産の食品の数々。中でも通好みのおつまみとして人気の「豆腐よう」をご存じですか?豆腐ようとは、角切りにした「島豆腐」とよばれる硬めの木綿豆腐を乾燥させ、紅麹、塩、泡盛で作ったもろみに漬けて発酵・熟成させた大豆発酵食品です。この鮮やかな紅色は、発酵に使用する紅麹の天然色素が由来です。
豆腐ようは琉球王朝時代の18世紀頃に中国から伝来した「腐乳」を、琉球王府の料理人たちが改良したものと考えられます。「腐乳」は豆腐を漬ける際に、濃いめの塩水を用いて発酵させるため、かなり塩辛く匂いも強烈でクセがあります。一方、豆腐ようはアルコール濃度の高い泡盛で漬けることで腐敗を防ぐことができるので、塩分をぐっと抑えることが出来ました。さらに、麹の働きで甘味も出てまろやかになり、とても食べやすく、栄養的にもすぐれた食品に変身をとげました。
門外不出の伝統食品
18世紀に誕生した「豆腐よう」は、おもに王朝の貴族たちが口にする食べ物で、当時は庶民の口に入るものではなかったようです。高価な泡盛を大量に使って仕込む上、手間と時間がかかるため、その製法は長く門外不出でした。琉球王朝なき後は、王族にゆかりの深い家庭や地域だけで、細々と製造されていました。このため実は、沖縄でも一般的に知られるようになったのはここ20年ほどの事なのです。
今では「豆腐よう」を量産するための製法の研究開発が進み、一般にも広く親しまれるようになりました。琉球王朝の雰囲気を伝える伝統食品として、沖縄を訪れた人の舌を楽しませ、お土産にも重用されています。豆腐ようは一般的に、酒の肴として食べられることが多く、味が濃厚なため、ほんの少量を箸の先につけてなめるようにして楽しみます。クリームチーズのようなねっとりとした口当たりで、ウニのようなコクがあると評される、リッチな味わいです。
発酵が育んだ、パーフェクトな健康食品
琉球王朝の医師であった渡嘉敷通寛が、1832年に編纂した「御膳本草」という医学の本に、豆腐ようが登場します。「香ばしく美にして胃気を聞き、食を甘美ならしむ。諸病によし」と記され、貴族たちも滋養のために少量を用いていました。
近年の研究によって、豆腐ようには血圧の上昇を抑制する効果や脂質代謝の改善、また血液の抗酸化作用など、さまざまな機能が報告されています。低カロリーな発酵食品として、おつまみだけではなくぜひ豆腐ようを積極的に食事に摂りいれたいものです。
ドレッシングに入れたり、パスタに合えたり、あまり熱を加えないことが重要。ブルーチーズと同じような感覚で料理に使用すると、味にコクと深みが生まれるのも、うれしいポイントなんですよ!