くぼみの正体
リンゴやナシのてっぺんにあるくぼみは、枝についている側を「梗窪/こうあ」、その反対側を「萼窪/がくあ」といいます。
一般的に果実は受粉した後、種子の中にある子房が果肉に成長していきます。木の枝からぶら下がるリンゴの果梗は、果実中央部の子房(種のある部分)に直結しています。これは、リンゴやナシの皮が薄く、自分の体を支えるには柄が果実の芯に直結していないと、自重を支えきれないためです。
リンゴの成長過程において、最初はがくの部分が上を向いていますが、果肉が膨らみだすと、重みでだんだんがくの部分が地面に向いて下がってきます。その時、重力が果梗にかかる部分に集中するので、果梗のまわりの果肉は育たず、そこだけがくぼんだ形になってしまう、というわけなのです。真果であるミカンの場合は、果梗が外皮と直結しているため、自重で中央がくぼむ、ということがありません。
出典:みかん辞典
甘いリンゴの見分け方
形・・・大きすぎず、中程度で重みがしっかりあるもの。頭の部分がぼこぼこしているものは、「いぼり」といって完熟している合図です。
果梗(ツル)・・・果梗の周囲にヒビが入り、割れてしまっているものも完熟している合図です。見た目は悪いですが味はとても良いので探してみてください!
皮の色・・・品種によって異なりますが、赤が濃く色づいているものを選びましょう。おしりの部分が黄色~だいだい色になっているものは甘みがある証拠です。
さわった感触・・・皮の表面にしっかりとしたハリがあるもの。爪で軽~くはじいてみて、コンコン!と高い音がするものは、歯ごたえもよく身が引き締まっている証拠です。
ツヤ・・・りんごは熟すことによってリノール酸やオレイン酸などの成分が生成されます。これらの飽和脂肪酸と、皮に含まれる成分とが合わさることで、ワックス状の膜が作られます。このため、表面がツヤツヤになっているりんごは食べ頃になっていることが多いのです。
香り・・・完熟した果実にはエステル類が多く含まれるため、花のような特有の甘い良い香りがします。香りの強いものは蜜が入っている可能性も高くなります。
また、甘いリンゴといえば、「蜜入りリンゴ」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実は、蜜の有無はリンゴの甘さにはさほど関係ないことがわかっています。しかし、蜂蜜色をしていかにも食欲をそそる「蜜入り」を求める消費者も多いのも事実です。そこで、店先で蜜入りりんごを見分けるポイントをご紹介します。
①ヘタの周りにシワが寄っているもの。
②りんごを両手で持ち、尻の部分を照明にかざして覗くと、透き通って見えるもの。
蜜の成分であるソルビトールと水分は、収穫後徐々に果糖に変化し、消えてしまいます。12月くらいまでに購入しましょう。
美味しい季節に食べよう
りんごの品種数は、世界では約1万5000種、日本では約2000種あると言われています。この中で、日本の気候風土や、消費者の好みに適した数十種が主に栽培されています。
各品種とも、収穫の時期は1~2ヶ月間程度で、収穫された3か月以内が味・香りもよく「りんごの食べごろ」といえます。りんごは冷蔵貯蔵が出来るため、実際に市場に出回る期間はかなり幅がありますよね。ジョナゴールドやむつなど、保存性にすぐれた品種は、夏前くらいまで店頭に出まわることもあるようです。なお、むつとサンむつ、ふじとサンふじの違いは、栽培時の袋の有無です。「サン」がつくと、無袋栽培になりますので色ムラはありますが、その分直接太陽を浴びるため、同じ品種でも甘味も香りも強く育ちます。
好みの味のバランスを見つけよう!
りんごの食味は、「甘さ」「酸味」「香り」「食感」で分類されます。たとえば「サンむつ」という品種の特徴は、甘さと酸味のバランスが良い上に果汁も多く香りも豊かで、そのまま食べたりジュースにするのには最適です。しかし果肉は硬めながら、きめが粗いため、加熱には向きません。逆に「紅玉」の果肉は硬くきめ細かく煮崩れしにくいことと、香りと酸味がつよいため、ジャムや製菓にぴったりです。
スーパーなどで一番見かけるりんごは「ふじ」や「つがる」など人気の品種が多いですが、最近では産地ごとの様々な品種のりんごを取りそろえる小売店もあり、選択肢が増えています。また、旅先の道の駅などで、希少な品種を発見する楽しみもあります。
そのまま食べるのか、製菓や料理に使うのか?などを加味して、あなたのお好みの「マイりんご」を探してくださいね。