アルバイト経験も調理師の受験資格になります!
調理のプロとして国に認められ、調理や食品衛生に関する基礎知識を持つ証明となるのが「調理師資格」です。
この調理師試験を受験するためには必要な資格があります。それは中学卒業以上の学歴と、飲食店調理場での2年以上の勤務経験です!実はこの勤務経験について、「アルバイト」での経験でも調理経験として認められるのをご存知でしたか?アルバイトの場合は原則として週4日以上かつ1日6時間以上の勤務が必要ですが、通算2年以上、キッチンスタッフとしての経験がある方はぜひ、「調理師」の資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか!
あなたのバイト先でも受験資格を得られる?
さて、この調理経験を証明するための書類が「実務経験証明書」です。「調理業務従事証明書」とは、飲食店や給食施設などで働いた経験を証明するための書類です。飲食店の経営者や、施設の責任者など、最高責任者の印鑑(実印)が必要になりますので、働いているお店の経営者や、施設長に「調理業務従事証明書」を記入してもらいましょう。以前勤めていたお店でも大丈夫ですし、辞めてから何年も経っている場合でも大丈夫です。要は、勤めていたお店の経営者に、「調理業務従事証明書」を記入してもらうことができればOKなのです。
書式は?というと、取り寄せた「調理師国家試験」の願書の中に、指定の用紙が入っています。指定用紙以外の紙に記入した場合は無効になりますのでご注意ください。働いたお店に持参してお願いするのもいいですし、忙しそうな場合や、退職してから年月が経っている場合などは、あらかじめ電話連絡の上、郵送して書いてもらうのもよいでしょう。
一つ注意してほしいのが、記入をお願いする場合は提出期限に余裕をもって行うことです。受験者にとっては重要な事でも、忙しい飲食店の経営者からすれば手間が増えメリットの無い作業ともいえます。また、アルバイト先が大手企業の場合は本社によって手続きが行われますので、発行までに数週間~2か月間もの時間がかかる場合があります。願書をとりよせたらスグにお願いするくらいでちょうど良いと思われます!
なお、証明書は自分で記入することはできません。※もし偽造して提出した場合、受験者の受験資格や合格は取り消され、受験者も経営者も、刑法の規定により処罰されることになります。
受験資格が得られるお店とは!
さてこ次に、どんなお店での調理経験はOKなのか詳しく見てみましょう。みなさんの経験のなかでも一番多いのは、一般飲食店での、キッチンスタッフとしての勤務ではないでしょうか。その他にも、スーパーでのお惣菜製造だったり、病院や施設などの給食調理だったり、はたまたお弁当屋さんでの調理など、さまざまなケースが想定されています。
まずは「実務経験証明書」として認められる施設からみてみましょう。
①給食施設
継続して1回20食以上または1日50食以上を調理し、提供している施設として保健福祉事務所等に届出をしている施設。学校、病院、事業所、保育園、介護老人保健施設などが該当します。市区町村などの公営の場合と、民間事業者が運営する場合がありますが、どちらでも大丈夫です。
②飲食店(旅館を含む)
個人経営の小さな食堂でも、ファミリーレストランでもOKです。飲食店とは一般的な食堂、レストラン、料理店、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、弁当屋、その他食品を調理して設備を設けて客に飲食させる営業形態のお店をいいます。
★ファーストフードはどうなの?
「調理業務従事証明書」には「調理業務の内容」として、次に挙げる項目を3つ以上選択する欄が設けられています。調理業務として挙げられているのは、「切る ・ 焼く ・ 煮る ・ 炊く ・ 蒸す ・ ゆでる ・ 炒める ・ 漬ける ・ 揚げる ・ 味付ける 」などで、その他魚をおろす、うどんを打つなどは、その他の欄に記入することになっています。ファーストフード店での経験がこのうち3つに該当すればOKです。ということは、ファーストフード店でも、ビーフパティを焼き、ポテトやチキンを揚げ、塩をふったりソースをかけたりの味付けを行い、トマトやレタスを切っていれば調理経験としてカウントされます。なお、調理済み食品をレンジで温めるのは調理経験にカウントされませんので、あしからず!
★コンビニはどうなの?
実は一般的なコンビニは、店内で揚げ物などをする必要があることなどから、飲食店営業許可を取得して営業されている場合がほとんどです。しかし、揚げ物調理や肉まんを補充するだけでは、調理業務には該当しません。店内で米を炊きおにぎりを握ったり、パンを切ってサンドイッチを調理するなど、店内でお弁当の調理・販売を行っているコンビニならOKです。
③魚介類販売業
?店舗を設けて魚介類を販売する営業をいいます。鮮魚店はもちろん、スーパーの鮮魚売り場での勤務でもOKです。魚の調理(内臓出し、三枚におろす刺身の調理)を行っていれば従事経験として認められます。ただし、包装など販売のみの場合は、魚を調理しないことから従事経験として認められません。
また、魚介類をそのまま加 工せずに販売する営業や、市場などでのせり売営業での就業は、調理経験とはみなされないのでNGです。
④惣菜製造業
惣菜とは、煮物(つくだ煮、煮しめ等)、焼き物(いため物、くし焼き等)、 揚げ物(から揚げ等)、蒸し物(しゅうまい、茶わん蒸し等)、酢の物及びあえ物(ごま和え・サラダ等)など、通常副食物としてそのまま食べる食品。これらの食品を製造する営業を「惣菜製造業」といいます。ただし、ハムやソーセージなどの食肉製品製造業、ちくわやかまぼこなどの魚肉ねり製品製造業、豆腐製造業での調理経験はNGですのでご注意ください。
残念・・・受験資格は得られない場合
①お店が「喫茶店営業」だった場合
「スタバ」は「カフェ」という認識が一般的ですが、実は法律上では「喫茶店」に区分されることを、知っていますか?食品衛生法に基づく営業許可のうち、調理業は「飲食店営業」と「喫茶店営業」の2つにわかれます。このうち、働いていたお店が「喫茶店営業」だった場合、調理実務経験とはみなされないので注意です!ちなみに、法律上の区分では次のようになっています。
●法律上の呼び名「喫茶店」●
「喫茶店営業」=お酒を提供できない。店内での調理はトースト以外不可。
●法律上の呼び名「カフェ」●
「飲食店営業」=お酒を提供できる。店内で調理が可能。
このように調理の可・不可によって営業形態が異なるため、「喫茶店営業のお店での経験」=「調理経験はない」とされるのです。
余談ですが、いわゆる喫茶店やカフェでも「飲食店営業許可」を取得して営業するのが通例です。しかしお店によって、シンクが一槽しか設置できない、手洗い場が設けられない、床の材質が変えられない、など開店時の諸事情を抱えている場合があります。このように飲食店営業の許可を得るための条件がクリアされないため、比較的基準のゆるやかな「喫茶店営業許可」を取得する場合があるのです。大手カフェチェーンの場合ではこれを戦略的に行っている場合もあるでしょう。
②食品衛生法の営業許可を受けていない施設
飲食店や、上記に挙げたような惣菜製造業などの営業所をオープンするには、食品衛生法や都道府県の条例に基づき、都道府県の許可を受ける必要があります。この「営業許可証」を提出しないまま営業しているケースも稀にありますので、注意が必要です。
営業許可を得るには、都道府県が定めた施設基準に合致した施設を作る必要があり、また食品の提供方法・取扱う食品の種類によって、必要な許可・届出等の手続きが異なります。※必要な手続きをとらずに営業した場合、無許可営業となり、経営者が罰せられることがあります。
③パンやデザート類しか製造していない施設
飲食営業の許可を受けた営業施設で、ケーキ、デザート類、パン製造のみの業務に従事している場合や、菓子製造業の許可のみの認可を受けた営業施設で従事している場合は、調理経験があるとはみなされません。ただし、調理パンの製造経験のある場合は、野菜を切ったり、肉を炒めたり揚げたりという調理を伴うため、調理経験にカウントされます。不安な場合は、各受験先の都県の担当課に問い合わせることをおすすめします。
企業や研究室で食品開発のために、調理業務を行っていた場合
食品メーカーの研究所・開発部門では、新商品を開発する際に料理の試作を繰り返します。また品質分析、技術開発など、企業や学校などの調理室で調理をする場合がありますが、この場合は実務経験とみなされません。
④栄養士、保育士、看護師などの職種で、調理をしていた場合
たとえ給食施設に勤務していても、栄養士、保育士、看護師などの別職種として雇用され、調理を兼務していた場合は実務経験にカウントされません。あくまで、調理スタッフとして勤務した場合のみ、実務経験とみなされます。
⑤料理学校、教育機関などで教えていた場合
調理師専門学校や大学・短大などはもちろん、個人的に料理教室で教えていた場合も、この期間は調理の実務経験の期間にはカウントされません。
注意が必要な条件があります!
以上、OKな場合とNGな場合を見てきましたが、その他に気を付けておきたいポイントを押さえておきましょう!
①アルバイトの場合は週4日以上かつ1日6時間以上の勤務が必要
②飲食店でも、接客業務や配達業務は職歴として認められない
ホールスタッフやデリバリースタッフ、盛付けや会計専門だった場合は、調理の実務経験にはカウントされないので注意です!
③高校在学期間中の従事期間(定時制・通信制除く)は、職歴として認められない
残念、高校時代のキッチンバイト経験はカウントされません・・・。ただし、定時制高校や通信制高校に通学の場合は、職歴としてカウントされます。
④働いていたお店の経営者が受験者本人・配偶者・二親等以内の血族である場合は、第三者 (同業種の多店経営者や飲食店組合など)の証明が必要
自分の親が経営している店で働いていた場合の経験は、もちろん実務経験としてカウントされます。ただし、親族に「調理業務従事証明書」を記入してもらうことが出来ないため、その店の所属する飲食店組合で「調理業務従事証明書」を記入してもらう必要があります。これは家族間で経歴の詐称などの不正が行われるのを防止するためです。
飲食店組合に所属していない場合は、知り合いの同業者の方に記入してもらうことも可能です。まずは受験先の都道府県に問い合わせてみることをおすすめします。
こんな場合はどうする?Q&A
働いてたお店がもう無いんですけど…
「勤めていたお店がなくなっている」「働いていた施設は廃業になっている」などの場合も、あきらめないでください。
経営者から証明が得られない場合次の場合は第三者による証明(同業種の他店経営者(施設長)又は調理師協会・飲食店組合等の団体の長)をもらえば、受験資格が得られます。
「廃業年月日がわからない」「調理師協会に入っていたかわからない」「飲食店組合に所属していたかわからない」そんな場合は、まずは受験先の都道府県に問い合わせしてみましょう。
2か所での経験を合算しないと2年に達しない場合
受験資格である「調理場での勤務経験年数=2年」は複数店舗の合算でもOKです。2か所以上で働いていた場合は、1店舗で1枚の調理業務従事証明書」が必要です。原本をコピーして使いましょう。
ただし、かけもち勤務などで勤務期間が重なっている場合は、どちらか一方のお店での勤務しか経験と認められませんので、注意してください。
まとめ
いかがでしたか?キッチンでの調理のお仕事は、アルバイトといえども、立派な職務経歴として認められ、国家資格の受験資格として活用できるんです。願書の受付開始日は都道府県によって異なりますが、早い県で4月上旬、遅い県で6月中旬となっています(平成29年度日程は未発表)。受験勉強の期間は半年程度、書類準備には1ヶ月程度が必要ですので、早めに準備を始めて、資格を自分のものにしてみませんか?
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