〈自身で焼肉店も経営する?飲食店専門弁護士”の第一人者、石﨑冬貴氏の法律コラム〉
今回のテーマは、「飲食店と風営法」についてです。
飲食店を開業する際に必要なのは、言うまでもなく保健所の「営業許可」です。一般的には、「飲食店営業許可」や「喫茶店営業許可」ですが、総菜やお菓子など、?モノ“によって、個別に製造や販売の許可が必要になってきます。いずれの場合も許可を出すのは管轄の保健所で、法律上では、食品衛生法となります。
ところで、「店員に接待をさせていた」という理由で飲食店が摘発されるニュースがあります。先日も、秋葉原のあるメイドカフェで、メイド服の女性店員に接待させていた事が判明し、実質的な経営者らが、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる、風営法違反で逮捕されました。
この食品衛生法と風営法、一体どこが違うのでしょうか。
結論から言うと、食品衛生法は、食品衛生を守る、つまり、食中毒を出さないための法律で、主に食べ物の種類を規制しているのに対し、風営法は、健全な風俗環境、つまり、社会秩序を守る法律で、主にサービスの種類を規制しています。したがって、食品衛生法上の許可は、保健所(国民の健康を管理する役所)
が担当し、風営法上の許可は、公安委員会(国民の秩序を守る役所)が担当するのです。
飲食店絡みで風営法の対象となるのは、
①カフェ、バーなどの設備を設けて、客の「接待」をして、客に遊興又は飲食をさせる営業。ホストクラブ、キャバクラなど。
②カフェ、バーなどの設備を設けて客に飲食をさせる営業で、店内の照度を10ルクス以下として営むもの。店員による「接待」はできない。
③カフェ、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの。カップル喫茶など。
の3種類で、「接待飲食等営業」とされていますが、現実の線引きはかなり難しい部分があります。ポイントは、接待が、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されていることです。
よくあるケースでは、同じお酒を提供するのでも、女性のバーテンダーがカウンターに立つBARなら、あくまでお酒が目的ですので、飲食店の営業許可でOKです。一方、女性バーテンダーがお客の横に座ってお酌するとなると、お酒が目的ではなく、接客が目的になりますから、いわゆる、キャバクラやクラブと同様になり、風営法の営業許可が必要というわけです(もちろん、飲食店の営業許可も必要)。もっと言えば、横でお酌をしなくても、「飲み物の料金が相場より明らかに高く、接客の対価が含まれている」、「店員がバーテンダーを指名できる」、「客数に比べてバーテンダーが多い」「店員に接客を受けている時間単位で料金が発生する」「アフターや同伴がある」などのシステムがあれば、風営法上の営業許可が必要となる可能性があります。
また、飲食店であっても、BARや居酒屋など、深夜0時以降も酒類を提供する場合は、「深夜酒類提供の届出」が必要です。これも公安委員会で、「届出」とはされているものの、一定の条件があります。
どこからが風営法の許可が必要なのかは、なかなか判断が難しいところですので、必ず専門家に相談するようにしましょう。
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