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食べたことある?通の味覚「鮒(ふな)寿司」

食べたことある?通の味覚「鮒(ふな)寿司」

滋賀県が誇る名産品が「鮒寿司」です。日本最古の寿司ともいわれるこの「鮒寿司」の歴史と魅力にせまります!

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ふつうの寿司とかなり違う!「ふな寿司」って何?

フナ

「ふな寿司」とは鮒(ふな)を、炊いた白米と共に発酵させた、滋賀県の琵琶湖周辺に伝わる伝統料理です。「なれずし」の一種で、琵琶湖の固有種であるニゴロブナやギンブナを塩漬けにして2~3ヶ月置いたあと、塩を洗い落として米飯と交互に漬け込み、重石をして数か月から時には2年以上も自然発酵させたものです。春先に獲れた子持ち鮒を塩漬けにし、米飯と漬け込む「本漬け」は菌の活動が活発になる盛夏に行われます。この乳酸菌の作用により骨まで柔らかくなり、さらに熟成が進むにつれてまろやかな風味が生まれるのです。近頃は天然のニゴロブナの漁獲高が減ったため、高級品となっています。

昔は琵琶湖畔の各家庭で漬けられ、お正月ごろに食べごろを迎えたことから、新年を祝う祝いの献立として最上のものとされていました。その手間がかかることから手作りする人は減りましたが、今でもお祝いごとには欠かせない郷土料理として親しまれており、滋賀県の指定無形民族文化財にもなっています。

ふな寿司は、乳酸の酸味と発酵による独特の匂いが強いため、人によって好みが極端にわかれます。通常は1センチほどの薄さにスライスしてそのまま食べます。軽くあぶったり、お醤油を少しつけても美味しさをひきたてます。特に日本酒との相性は最高で、高級珍味としてファンも多いのもうなずけます。ほかにも雑炊・天ぷら・お吸物・味噌汁などの食べ方もあります。ほぐした身をご飯に乗せ、ネギやワサビを添えてお茶漬けにして食べると、酸味がほどよく効いて絶品です。

魅惑の「なれずし」の世界へようこそ!

かぶら

「なれ寿司」とは、ふな寿司のように、魚を塩と米飯で乳酸発酵させたものです。なれ寿司は乳酸菌が豊富なため、整腸作用があると言われています。昔から滋賀では、ふな寿司をお腹の調子の悪い時に薬代わりに食べる風習があります。なれ寿司は、乳酸発酵により生食する時よりもミネラル・ビタミンB1が豊富になっており、さらに骨ごと食べられるため、カルシウムも補うことができるのです。

琵琶湖畔の「ふな寿司」のほかにも、日本全国には様々なタイプの「なれずし」があります。地形の条件や獲れる魚によって変化はありますが、どれも貴重な魚を保存しておいしく食べるため、先人たちが絞った知恵の結晶ともいえますね。

産地名称作り方
北海道鮭のいずし鮭を米飯・米麹と漬け込み発酵させたもの。
金 沢かぶらずし魚と根菜を糀で発酵させたもの
新 潟鮭のいずし飯ずしの一種。鮭を米飯と漬け込み発酵させたもの。
秋 田粥ずし数の子や野菜を米飯と米麹と漬け込み、発酵させたもの。
はたはたずし飯ずしの一種。ハタハタを米飯と漬け込み発酵させたもの。
青 森鮭のいずし

薄切りにした鮭と数の子、にんじん・大根・ゆずを、

笹の葉を敷いた樽に重ねて漬け込み、米糀で発酵させたもの。

奈 良鮎の釣瓶寿司

酢でしめた鮎の腹にすし飯を詰めて竹の皮を敷いた

釣瓶に重ねて、4~5日発酵させたもの。

柿の葉寿司

塩漬けにした鯖と米飯を柿の葉でくるんで漬け込み、

発酵させたもの。現在市販されている柿の葉寿司とは別物。

和歌山鯖のなれずし糠と塩で漬けた鯖を米飯で漬け込み、発酵させたもの。
鮎のなれずし

塩漬けにした鮎を米飯と漬け込み発酵させたもの。

熊野地方でつくられる。鯖よりクセがつよい。


鮒ずしのルーツは?

buiwako2なれずしのルーツを辿っていくと、その歴史は紀元前400年まで遡ります。なれずしは古来より中国雲南地方やタイ東北部の伝統的保存食として作られ、日本には縄文時代後期、稲作の技術と共に中国~東南アジア方面から伝えられたと考えられています。現在でもタイやラオスで「プラーソム」というなれずしが作られています。淡水魚に塩・にんにく・唐辛子などをまぶし、蒸したもち米を混ぜてバナナの葉に包み、数日間発酵させたものです。主にフライにして少量ずつ食べるこの珍味、タイ料理店などで見つけた際にはぜひお試し下さい!

日本で文献にのこる最古の記録としては、奈良時代初期に編纂された「養老令」に「鮑鮓」「鮒鮓」が登場。さらに平安時代中期に編纂された「延喜式」には、「鮒鮓」が「鮎鮓」とともに、近江国筑摩厨房(滋賀県米原市)から宮中への貢物として献上された記録が残っています。現在、「寿司」といえば炊き上げた白米に酢と塩を混ぜて魚の切り身を乗せたものが一般的ですが、もともとは「なれずし」こそそのルーツであったと考えられています。室町時代には、発酵期間の短い「なまなれ」が登場し、江戸時代には炊き上げた白米に酢を使った「はやずし」が登場します。

流通や保存技術の進歩にしたがい、魚と米を結びつける「美味しい酸味」だけをエッセンスとして残して、だんだんと現在のスタイルに変化していったのでしょう。このことから、琵琶湖に伝わる鮒寿司は「日本最古の寿司」とよばれているのです。

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