すだちとかぼすの違い
「すだち」と「かぼす」はともにムクロジ属 ミカン科 ミカン属の常緑樹で、露地物の旬は8月~10月。それぞれに良い香りとさわやかな酸味が魅力的ですが、その一番の違いは大きさです。まずは下の表をご覧ください!
? | かぼす | すだち |
主な生産地 | 90%以上が大分県産 | 90%以上が徳島県産 |
大きさ | テニスボール大。1個140g程度 | ゴルフボール大。1個40g程度 |
味わい | すだちより酸味が少なく甘味が強い | 爽やかな香りとすっきりした酸味 |
味わいの違いは「かぼすはすだちより酸っぱさ控えめで甘い」ということ。かぼすに含まれる「酸っぱい成分」クエン酸の含有量は、同量の外国産レモンと比較して約2倍にもなりますが、その割には酸味にまろやかさを感じます。これは同じくミネラル成分の含有量が多く、塩味・苦味・甘味が高くバランスが良いのが理由ではないかと考えられています。
すだちとかぼすはもちろん香りも違いますので、両方手に入った時には、ぜひ食べ比べてみてくださいね。
さわやかな香りに効能あり!
果実をそのまま食べるのではなく、皮ごと搾りかけて料理などに用いる柑橘類のことを、高知では通称「酢みかん」と呼びます。ゆず・すだち・かぼすなどはその代表格に挙げられます。他にも、直七、仏手柑、ダイダイ、キズ、ジャバラ、シークワーサーなども酢みかんの仲間です。酸味だけでなく、それぞれに特徴あるフレッシュな香りも大きな魅力ですね。しかも、果皮に含まれる成分にアロマテラピー効果まであることをご存知でしたか?
かぼすの効能
かぼすには主成分のリモネンの他、テルペン、ピネンが含まれます。これらの成分は気分をリラックスさせてくれるだけでなく、食欲を増進させたり、抗ウイルス作用や血圧を下げる働きもあります。また、かぼす固有の香り成分として「リナロール」が含まれています。この成分には特に鎮静効果があり、心を落ち着かせてくれる働きがあります。
すだちの効能
すだちの香りは、12種類もの「モノテルペン類」の複合香によります。モノテルペンはかんきつ類に含まれる化学物質で、殺菌作用・抗炎症作用・鎮痛作用・抗ウイルス作用があります。また、すだち固有のフラボノイド(スダチチン、デメトキシスダチチンなど)を含み、これも独特の香気のもととなっているようです。ポリフェノールの一種であるフラボノイドは食用すると、老化を防ぐ抗酸化作用や、生活習慣病のリスクを下げる効果があると言われています。
風味・香りを最大限に活かす食べ方
すだちやかぼすは生で食べるよりは、その風味や香りを楽しむ食べ方が主流です。とくに、日本料理にはピッタリです。果皮や果汁はミネラルを多く含むので、まるごと利用すればうま味もあり、料理の塩分を控えめにしても美味しくいただけます。ぜひ積極的に摂取しましょう。
【焼き魚に】 …焼きたての魚にぎゅっと搾れば、味も引き締まって料理を引き立てる名脇役に変身!焼き魚に醤油の代わりに使って、魚そのものの味を楽しんでください!
【アルコールに】…酢にはアルコールの吸収を遅くする効果があるとも言われるため、お酒を飲む前に酢を飲んでおくと酒酔いを遅らせることができるそう。かぼすの産地・大分では焼酎に搾って飲むそうです。嘘かまことか、居酒屋で「生カボスハイ」を見つけたらぜひお試しを!
【飲み物として】 …すだちやかぼすの果汁には、コレステロールを低下させる効果があると言われています。果汁を水で10倍ほどに薄めていただくとジュースとして美味しくいただけますよ。ビタミンCやクエン酸も豊富なので、疲労回復や美肌効果も期待できます◎
【きのこ料理に】…マツタケの土瓶蒸しの横には、必ずそっと寄り添うすだち。搾れば、品のよい香りが素朴な山の幸に華やかさを添えます。旬のきのこは、食物繊維が豊富で低カロリー。まつたけに限らず、旬のきのこを土瓶蒸しにしていただきましょう。土瓶がなくても、だし汁でさっと火を通したシイタケ・シメジ・エノキなどをお椀に盛付け、かぼすをキュッとしぼって召し上がれ。果皮を下にして絞ることで、皮に含まれる栄養分も余すことなく摂取できます。だし汁に移ったきのこの香りを楽しむお料理なので、味付けは塩少々で控えめに。ポイントは、数種のきのこを組み合わせること。味に深みを引きだし、食感も楽しめるのでおすすめです。