食物繊維不遇の時代
食物繊維はヒトの持つ酵素では分解されず、消化・吸収されないまま胃と腸を通って体外に排出されます。その上、ほとんどカロリーがなく栄養素も含まれていないため、戦後長い間、健康維持に欠かせない働きがあることが判明するまで、栄養素の1つとして考えられてきませんでした。
食物繊維の種類は?
食物繊維には果物などに含まれる「べクチン」、寒天・こんにゃくなどに含まれる「グルコマンナン」などのネットリヌルヌル系の水溶性と、ボソボソしてスジっぽく、殻類・豆類・野菜類・カニやエビの甲殻・干椎茸・かんぴょう・干柿などに含まれる不水溶性があります。特に不水溶性は体内の水分を含むと、膨れて”かさ”が増え、満腹感を得やすいのです。また食物繊維が多いと弾力があり歯ごたえもあるので噛む回数が増え、唾液や胃液もたくさん出て、胃はそれらの水分でいっぱいになったと感じ、早く満腹感を得られます。少量でたくさん食べた気分になって、カロリーを取りすぎずに済むのです。
水溶性食物繊維は、ビフィズス菌をはじめとする善玉菌のエサにもなって腸内環境を改善するのにも一役買っています。
不溶性食物繊維は、大きく膨らむことによって腸管や腸壁を刺激しぜん動運動を活発にするという役割も担います。
食物繊維の必要摂取量は?
一般的には1000kcal当たり10gの食物繊維が必要とされており、成人だと1日約20~25gは必要です。ところが実際は1日17g以下。昭和30年代まで日本人は十分な食物繊維を摂取してきましたが、今では年々摂取量が減少しています。その理由は、食物繊維をほとんど含まない牛肉・豚肉・乳製品等の動物性食品を多く食べるようになったこと。そして精製された食品が増えたこと。食物繊維は、玄米から精米へ精製されると1/3以下に、精白パンの場合は小麦をそのまま挽いた全粒粉パンに比べると1/20になります。
※食品だけでとるのは難しいと思いますので、サプリメントなどで補う必要性がありそうですね。
おわりに
こうしてみると、昔の日本人が毎日食べたご飯~味噌汁・おひたし・納豆・焼きのりなどが、やっぱり理想的。Back to the 古きよきニッポンの朝ご飯!
食物繊維は確かに大切ですが、植物性食品だけでなく、ミネラル・発酵食品・動物性食品をバランスよく食べましょう。