「着付け小物完全版」これだけ揃えればOK!
着物を着る際に「必要な小物」をリストアップしました。着物と帯(帯揚げ、帯締め)はお店で用意してくれますので、自分で持っていくのは最低限、このセットでOK!それでも、お店によって必要な小物が若干ちがってきます。お仕事が決まったら、事前に担当の方に「着付けの際に必要な持ち物」を確認するのを忘れないでくださいね!
着付けの方法は、百人百様で正解がありません。ただ初心者さんの場合は、教えてくれる方のやり方に従うことが、早く着付けをマスターするのには大切です。慣れたら自分がやりやすい着方に改善していけばOKです!
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①肌襦袢(肌着+裾除けor着物用スリップ)
長襦袢の下に着て、汗を吸い取る役目をするのが肌襦袢。「肌着、裾よけの上下セット」もしくは、上下が一体型となった「着物用スリップ」どちらでも大丈夫です。自分のタイプや好みで選んでください!
●面倒くさがりやさんは断然スリップ!
●汗かきさんは二部式にして、裾除けの代わりに和装用ステテコという、ズボン状になったものを履くのもオススメです。意外と汗をかく太ももの内側もサラサラ、快適に動けます。
●暑がりで、1枚でも着物の下に着る物を減らしたい方は、②の長襦袢をうそつきや大うそつきスリップにすれば、肌襦袢は省略してもOKです!ただし汗かきさんは1枚着ておいたほうが無難です。
●寒がりで、ヒートテックが手放せないかたは冬用の肌襦袢を探してみてください。洋服用の機能性肌着でもよいのですが、襟ぐりが深くあいているものを選んで。ただ、着物は意外と温かいので、まずは普通の襦袢で試してから購入することをおすすめします。
●グラマーさん・面倒くさがりやさんにもおすすめなのが「和装インナー」という便利な商品です。胸を押さえる機能があり、長じゅばんの下はこれ1枚でOKという便利さがあり、補正効果もあるステキな商品です。暑がりさんはノースリーブ、寒がりさんは袖のあるものを選ぶと良いでしょう。
②長襦袢
着物の下に着る下着が長襦袢(ながじゅばん)です。おしゃれ用や成人式などの長襦袢は絹100%のことが多いのですが、ここはお仕事で着る場面ですので、化学繊維素材の「洗える長襦袢」を用意しましょう!
洗える長襦袢は半襟も縫い付けてあることが多いので、自分で半襟を縫い付ける手間もなくそのまま着ることが出来て、ネットに入れて洗濯機でも洗えます。ただ、着物と丈が合わなかったり、化繊素材なので熱がこもりやすく静電気がおきやすい、などのデメリットがあります。また、「衣紋抜き」といって、衿をきれいに首の後ろに抜くための当て布がついていない場合も多いので、別途縫い付ける必要があります。素材としては、静電気がおきにくい「シルック」という高級な化学繊維がありますが、お値段が高くなりますので、後々余裕がある時に検討するのがよいでしょう。
ここでおすすめしたいのが「うそつき」です。
上下がセパレート(身頃と裾よけ)になっている襦袢を、「二部式襦袢」「うそつき襦袢」または「うそつき」と呼びます。これさえあれば①は不要、下着の上に着ればOKです。本来上下1枚であるはずの長襦袢が二部式になっているのに、着物を着てしまえばわからない、という意味で「うそつき」と呼ばれます。
更に、袖が取り外しできる襦袢を「大うそつき襦袢」といいます。うそつき襦袢(替え袖付)と呼んでいるショップも多いようで、混乱しますね~。
着物の袖の長さに合わせて袖つけの長さを変えることが出来て、普段きものを着る場合は好みの柄に付け替えることができるというメリットがあります。そして、うそつきも大うそつきも、洗濯機でザブザブ洗えますので、いつでもさっぱり着られるのがうれしいですね。この場合、セットで裾除けも用意してください。
また、裾除けは通常一枚の布に紐が付いた形状なのですが、筒状に縫われている裾除けがあり、それが「東スカート」です。立ったりしゃがんだりの動きでも足が見えにくいのでお仕事用に愛用している方も多い商品です。
着付けに不慣れな方は、二部式だと着用に手間取り、さらに腰回りの紐が多くなりゴロゴロしてしまう場合もあるかと思います。そんな方におすすめしたいのは「大うそつきスリップ」です。補正効果もあるので着付けもスッキリ決まります。
また、うそつきなどの「二部式はダメ」なお店もあるようです。そんな場合、少々お値段は張りますが、「長襦袢スリップ」という商品がオススメです。半襟も縫い付けてありますし、えもん抜きも付いている上、裾除けの部分がベンベルグというキュプラ素材になっているので足さばきがよく静電気がおこりにくいのもうれしいポイントです。
さて、ここで1つ注意があります。着物には袷、単衣があり季節によって着用する時期があるのはご存知かと思いますが、下着や長襦袢も同じです。10月~5月までは袷用、6月~9月には絽などの夏用の長襦袢を用意してください。うそつきの場合も、半襟や袖、裾除けの部分は絽など、夏物の素材であることが必須です。身頃の素材もクレープなど手ごろな値段のものや、少し良いものなら麻などの涼しい素材でできているものなど各種あるので、好みや予算に合わせて選んでくださいね。
③着付け用のひも…4本
着物や長襦袢を着るとき、また帯を結ぶときには「ひも」が必要です。基本はモスリンのひも4本、もしくはモスリンのひも3本+ゴムベルト1本を用意してください。腰ひもの素材にもいろいろあり、綿、絹、ウールとさまざまです。仕事やふだんに着物を着る場合、おすすめなのは「ウールのモスリン」製の腰ひもです。滑りはよくありませんが、しっかりと締まって緩みにくいのがポイントです。
また、ゴムベルトタイプの腰ひもや、マジックベルトタイプの腰ひももあり、それぞれ愛用されている方も多いです。着付け初心者さんは、まずは通常のモスリンの腰ひもで、「骨盤あたりをキュッと締める感覚」を覚えてはいかがでしょうか?
④衿芯…1枚
長襦袢の衿に芯として入れ、ピシッと決まった衿周り、えもんの表情をつくるのが衿芯です。とくにお仕事の場合、だらしない印象を与えないためにもマストのアイテムです。普段着用と礼装用で厚みや硬さが違うため、普段着用の薄いものを選びましょう。あまり厚くて硬いと肩こりにつながったり、当たって痛いことがありますので注意しましょう。
⑤伊達締め…1~2本
伊達締めは一般に、長襦袢と着物に各1本を使用します。ただし、長襦袢の代わりにうそつきや大うそつきを着用する場合は、着物用に1本のみでよいでしょう。初心者の方は、ゴムが入っているものを選ぶと締めやすくゆるみにくいのでおすすめです。
⑥コーリンベルト…1本
ピシッと決まった着物の衿元をキープするのがコーリンベルト。美しい着付けのための必須アイテムです。着物をはおり、衿あわせをした際に使用すると崩れにくく、初心者さんには特に安心なアイテムです。着崩れ防止ベルトなどの名称で売られている場合もあります。ゴム製のベルトの両端にピンチがついていて、下前を折って片方を留めることでおはしょりを一重にし、身八つ口を通して背中にまわし、もう片方を上前の衿に留めて使用します。うそつきや大うそつきではなく、長襦袢を着る場合には、長襦袢用にもう1本用意するとよいでしょう。
⑦帯板(前板)…1枚
帯締めを締めた時に、胴の前をピシッとしわなく美しく仕上げるために必要です。きものを着て伊達締めをした上に着けて、その上から帯を巻く、ゴムベルトがついた帯板がおすすめです。ゴムベルトがない帯板の場合は、帯を一巻き目する際に、はさみこんで使用します。
⑧帯枕…1個
帯結びの必需品が帯枕です。枕の素材はスチロール製の硬いものからウレタン製の柔らかいもの、裏に厚紙が貼ってあるもの、化繊の紐がついているものなど、さまざまなタイプがありますが、おすすめしたいのはやわらかいウレタンをガーゼでくるんである帯枕です。柔らかい帯枕は肩甲骨の間のくぼみにフィットしてずれにくく、綿ガーゼは滑りが悪くゆるみにくいため、帯が下がってくることを防ぎます。もし実家など手持ちの帯枕に化繊の紐が付いていたら、切り取ってガーゼにくるんで使用することをおすすめします。慣れてきたら、ガーゼの長さを自分のサイズに合わせてカットするとさらに使いやすいですよ。
⑨足袋…2~3組
足袋は洗い替え用に2~3組あるとよいでしょう。素材やサイズなど選び方を解説します!
●素材
立ったり座ったりと、和装スタッフのアクティブな動きに耐えるのは「ストレッチ足袋」です。ネットショップなどで「足袋」と検索すると、最安値に表示されるのは「ブロード足袋」です。お仕事で使うものだし安くていいか!と思われるでしょうが、ちょっと待ってください。ブロードという素材は伸縮性がなく足を動かしにくいうえ、サイズがピッタリ合っていないと足が痛くなりますので、お仕事には不向きなのです。他にもキャラコという綿素材があり、ブロードよりは伸縮性がありますが、やはりストレッチ素材のものにはかないません。
●こはぜ
「こはぜ」という金具のついていないものは足袋カバーや靴下にあたるので、避けてください。また、「4枚こはぜ」と「5枚こはぜ」とこはぜの数が違う商品があります。4枚こはぜより5枚こはぜの方が足首を覆う部分が長くなります。お仕事には、足が見えにくいように5枚こはぜのものが良いでしょう。
●色
色柄のある足袋はおしゃれ用で、お客様におもてなしを提供する立場である和装スタッフには不向きですので、必ず白いものを選んでください。
●サイズ
伸縮性のあるストレッチ足袋の場合、あまりサイズに神経質にならなくてもよいとは思いますが、自分のサイズにピッタリ合った足袋を選んでください。大きめの足袋ですとだぶだぶと余りが出て見た目も美しくありませんし、余った指先の布を踏んでつまずいてしまう危険性もあるんです。
⑩着付けクリップ…2個
長襦袢の上に着物を羽織ったとき、半襟と着物の背中心がずれないように止めておいたり、帯の着付けの際にも便利な着付けクリップもあると便利です。大きさは特大・大・中・小とあるのですが、一番ポピュラーな中サイズが、使い勝手よくおすすめです。
⑪補正用タオル…2~3枚
洗顔用タオルを2~3本用意してください。着物を美しく着るためには、自分の体を丸太のようにずん胴に整えるのがよいとされています。なぜなら、着物は洋服とちがって体の丸みに合わせたカットが施されていないので、身体の凹凸を平らにしたほうが、平らな布がスッキリ収まりやすいのです。胸元、みぞおち、ウエスト、ヒップを補正するのが一般的ですが、体型によって補正する場所や割合は異なります。スリムで鎖骨がくっきり出ている体型のかたは、衿周りやウェスト、みぞおちに補正をくわえます、ヒップが豊かな方はウェストとの段差をなだらかにする補正が必要です。
ネットを検索すれば、手作りの補正小物の情報などもたくさんあります!自分なりのベストな方法を探っていってくださいね。
「着付け小物完全版」これだけ揃えればOK!
番外編:下着はどうすればいいの?
肌襦袢を着ることはわかったけど、その下に着けるのは?そう、和装のときは下着も大切です。着物のときは洋服と違って、胸のトップのボリュームはなるべく平たく抑えると美しく着付けが出来ます。このため通常の「寄せて上げる」ブラは不向きなため、スポーツブラやパット付きのキャミソールを着用すると良いでしょう。キャミソールを着る場合は、後ろ身頃が衿から見えないよう、襟ぐりの深いものを選んでください。
また、意外と目立つのが、ヒップに食い込んだショーツの線です。これを避けるため、ボクサータイプや、ヒップの部分がレースになっているショーツがおすすめです。さらにショーツの「履きこみの浅さ」にも注意してください。なぜなら、おへその上まであるような安心タイプのショーツだと、トイレの際にせっかくの着付けが乱れてしまうのです。ショーツに関しては、ヒップラインの目立たないローライズのショーツを選んでくださいね。
和装小物まとめ
ここまで読んでも、「何だかよくわからないよ~!」という方も、安心してください!
すべてセットになった便利な商品もあるんです。
コーリンベルトは着付けベルト、伊達締めのかわりにマジックベルトが含まれています)。②の長襦袢と⑧の足袋、⑩の着付けクリップを買い足せば、これで準備万端です!